睡眠の質が悪い、本当の理由 パート2
2026年4月14日

結論をいいます
原因は脳ではなく、体の歪み
眠りが浅い、夜中に何度も目が覚める、こうした悩みの多くは、心や生活習慣の問題として片づけられがちですが、実際には体の内部構造の問題が眠りを乱しているケースが多くあります。
例えば、呼吸の通り道が狭くなる、噛み合わせがわずかにずれる、舌や歯の形が変化する、ホルモンバランスが崩れる。
こうした、小さなズレや形の変化が、脳や神経に絶えず刺激を与えて、深い眠りを妨げている可能性があるのです。
つまり、睡眠の質を悪くしている、本当の理由は、あなたの体そのものが出しているSOSのサインなのかもしれないのです。
呼吸が浅くなる

肥満や歳を重ねることによって、首まわりや舌の根もとに脂肪がつくと、空気の通り道である気道が少しずつ狭くなってきます。眠って筋肉がゆるむと、舌が後ろに落ち込みやすくなり、空気が通るたびに喉の奥が震えて、息が止まりかけることがあります。
これが閉塞型睡眠時無呼吸症(OSA)の状態です。実際、肥満傾向のある人はそうでない人に比べて、睡眠中の酸素低下や夜間に起きてしまう方がはるかに多いという報告があります(Lan ら, Biomedicines, 2025)。
無呼吸やいびきが続くと、何度か起きてしまい、睡眠が細切れになり、深い眠りに入る時間が短くなってしまいます。
その結果、日中の集中力の低下、疲労感、血圧、代謝への悪影響まで生じてくるのです。
意外なのは、太っていなくても気道が狭くなる人がいる、ということです。
顔の骨格、下顎の位置、舌の大きさ、鼻づまりなど、さまざまな形の要素が重なって、呼吸の通り道が狭くなってしまうことから起こるのです。
ホルモンの変化

エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンには、実は、呼吸筋を支える作用があります。これらのホルモンが十分に分泌されているときは、喉のまわりの筋肉は自然と引き締まって、空気の通りもスムーズになります。
ところが、更年期を迎えると女性ホルモンが急激に減少して、男性ホルモン増えてくることで、体の筋肉や脂肪のつき方が変わってきます。
特に首や顎まわりに脂肪がつきやすくなり、気道が狭くなることで呼吸が乱れやすくなるといわれています。
この変化は目立たないため、本人も気づきにくいのが特徴です。いびきをかかないから自分は大丈夫、と思っていても、実際には睡眠が浅く、朝に頭が重い、肩がこる、気分がすっきりしない、という形で表れることもあります。
2025年のの研究では、閉経後の女性の約4人に1人が、軽度から中等度の無呼吸症状を抱えているという報告もあります(Springer)。
ホルモンの変化が、深い眠りに導く環境をゆっくりと崩していくのです。
噛み合わせと噛み合わせのズレ

睡眠の質を左右するのは、呼吸だけではなく、日中は気づかない程度の 噛み合わせのズレ、歯の摩耗、被せ物の高さの違いも、夜間の神経を刺激する要素になります。
歯や顎のまわりには、非常に敏感な感覚センサーが集まっており、歯が少し尖っていたり、噛み合わせが左右でわずかに違っていたりすると、そのわずかな刺激が脳へ伝わり、眠っている間でも筋肉が無意識に反応します。
その結果、顎まわりの筋肉が常に緊張状態になって、脳が完全な休息に入ることができなくなるのです。
研究でも、咬合異常や歯ぎしり傾向のある人は、深いノンレム睡眠の時間が短い傾向が報告されています(JADA, 2024)。
歯科的なストレスが、睡眠の質を削っていることもあるのです。
姿勢と顎の位置

スマートフォンやパソコン作業が増えると、姿勢の乱れが起きやすくなり、これが睡眠に大きく影響しています。
頭が前に出た姿勢、スマホ首は、顎が後ろに引かれた状態をつくります。この「下顎後退位」は、舌の根が喉の奥に近づくため、呼吸の通りを狭めてしまいます。
日中は意識的に姿勢を保てても、寝ているときには筋肉がゆるむため、舌根が落ち込み、軽い呼吸障害が起こりやすくなる。
とくに細身であごが小さい人、猫背が強い人では、この傾向が顕著になります。
これは肥満やホルモンとは関係なく、骨格構造そのものが原因で起きる眠りの質の低下になります。
もし朝起きたときに首や肩がこり、喉が乾いているようなら、それは睡眠中に口呼吸になっていた可能性が高いのです。
自律神経のバランス

強いストレスや就寝前のスマホ使用によって交感神経が優位になると、体は興奮状態のまま眠りに入ろうとします。
この状態では、ほんの小さな刺激、例えば、歯の接触や舌の動き、呼吸の変化などでも脳が覚醒してしまいます。
そうなると、本人の自覚がなくても、夜中に何度も浅い目覚めを繰り返します。
たくさん寝たのに疲れが取れない、朝から頭が重い、といった状態は、実は深い睡眠に達していないサインかもしれません。
2023年の発表では、噛み合わせや口腔内のわずかな刺激が、自律神経を通じて脳を興奮させる可能性も指摘されています(SAGE Journals)。
睡眠の質を取り戻すためには、リラックスするだけでなく、体からのノイズや、不具合を減らすことが必要になります。
眠りを妨げる原因の重なりを見抜く

睡眠の質が悪くなる原因は、一つではありません。
例えば、呼吸が浅い、ホルモンが変わる、噛み合わせがずれる、姿勢が悪い、神経が過敏、これらの要素がそれぞれ少しずつバランスを崩して、波紋が波紋を増幅させて、眠りが不安定になるのです。
というこは、対策も一つでは不十分であるといえます。
呼吸の通りを整え、顎と姿勢を正して、口の中の違和感をなくして、神経を鎮める。
そのすべてが改善したときに初めて、本当の意味の深い眠りが待っているのです。
あなたの眠りは、きっと変えられると信じています。
コラムはウエスト歯科クリニックと玉川中央歯科クリニックで、それぞれ異なる内容を掲載しています。ぜひ、もう一方のコラムもあわせてご覧ください。
参考・引用文献
- Lan C-C et al. Interrelationship Between Obstructive Sleep Apnea Syndrome and Small Airway Disease: A Comprehensive Review. Biomedicines. 2025.
- Fossland V et al. OSA severity and sleep architecture. PLOS ONE, 2025.
- Springer Link. Gender Differences in Sleep Disordered Breathing and Hormonal Influence, 2025.
- JADA. Occlusal Factors and Sleep Quality Correlations, 2024.
- SAGE Journals. Dental and Medical Management of Sleep Disorders, 2023.
- MDPI. Functional Correlates of Masticatory Load and Brain Activation, 2024.
- The Lancet. Non-obese Obstructive Sleep Apnea Phenotypes, 2025.
この記事は
医療法人社団 聖和厚生会
ウエスト歯科クリニック/玉川中央歯科クリニック
統括院長
Dr. Ryo が執筆しました。
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