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歯周病と人間関係の意外な関係

2026年7月7日

歯と高齢者のイメージ

結論をいいます。

 人とのつながりが、歯ぐきを守る力になります。

近年の研究で、歯周病は細菌だけでなく、社会的なつながりの有無によっても左右されることがわかってきました。

人と話し、笑い、交流することでストレスが減って、体の炎症が落ち着くのです。

逆に、孤立した生活や強いストレスは免疫を乱して、炎症を悪化させ、歯ぐきの破壊を進めてしまいます。

つまり、社交性は歯ブラシやマウスウォッシュと同じくらい、歯ぐきを守る大切な要素となります。

歯周病は、炎症の病気

歯周病になった歯茎

歯周病は、口の中の細菌によって引き起こされるだけではなく、細菌に反応した体の免疫システムが過剰に働きすぎることで、歯ぐきや骨をゆっくりと破壊していくのです(Kinane, 2017)。

この炎症反応は、ストレスや生活環境などの心と社会の状態にも影響されます。

たとえ歯を磨いていても、心身のストレスが大きいと、炎症の鎮まりが悪くなって、歯周病が進みやすくなります。

孤独が炎症を強める

孤独な高齢女性

2004年のロンドン大学の研究(Steptoe)では、社会的に孤立している人ほど、体内の炎症マーカー(CRPやIL-6)が高いことが報告されています。

人との関わりが少ないとストレスホルモンが増えて、免疫バランスが崩れ、全身で炎症が起きやすくなります。

この影響は口の中にも及びます。

炎症が全身に及べば、歯ぐきの腫れや出血が起きやすくなり、歯周病が進行しやすくなります。

孤独は、まさに見えない炎症リスクといえるのです。

社交性がもたらす免疫の安定

社交的な高齢女性

人と会い、会話し、笑うことは、副交感神経を刺激して心を落ち着かせます。

このとき、ストレスホルモンが抑えられ、体の炎症が穏やかになります。

また、会話や笑いによって唾液が増えて、その中に含まれる免疫物質IgAが口の中の細菌を抑えてくれます(Pressman, 2006)。

つまり、社交的な生活は、自然に炎症を抑える生活といえるのです。

楽しい会話や笑いは、歯ぐきにとっての薬にもなるわけです。

行動習慣にもあらわれる差

歯磨きをする高齢女性

社交的な人は、人と接する機会が多いぶん、口の清潔さや印象を意識しやすくなります。

そのため、歯磨きやフロスの使用、歯科検診などを欠かさない傾向があります。

イギリスの研究(Donaldson, 2008)でも、社会的つながりが多い人ほど歯科受診率が高く、歯周病が進行しにくいことが分かっています。

それに対して、孤立している人は、歯ぐきの腫れや出血に気づいても放置しがちとなります。

誰にも見られないから、人前に出ないから、と思って放置しているうちに症状が進んでしまうのです。

高齢者と社会参加の関係

高齢者のイメージ

2016年の日本の研究(Matsuyama)では、地域活動や趣味の集まりに積極的に参加している高齢者の方が、孤立している人よりも歯を多く残していることが報告されています。

社会とのつながりは、単に気分を前向きにするだけでなく、歯ぐきの健康を直接守る力になることがわかります。

結論として
つながりが歯ぐきを健康に

歯を指さして笑顔を見せる高齢女性

歯周病を防ぐには、歯ブラシやフロスだけでは不十分であり、人と関わり、笑い、会話することが、体の炎症を抑えて、免疫を整え、口腔内の環境を良くしてくれるのです。

社交性は、歯ぐきを静かに支える、言わば、もう一つの治療法です。

誰かと話すこと、笑うこと、集まりに参加することは、すべて、あなたの歯ぐきを守る行動となるのです。

※本コラムは「ウエスト歯科クリニック」と「玉川中央歯科クリニック」の両院に、それぞれ異なる内容で掲載しています。ぜひもう一方もご覧ください。

参考文献

  1. Kinane DF, Stathopoulou PG, Papapanou PN. Periodontal diseases. Nat Rev Dis Primers. 2017.
  2. Steptoe A, et al. Social isolation, inflammatory response, and mortality. Proc Natl Acad Sci U S A. 2004.
  3. Pressman SD, et al. Positive affect, social interaction, and salivary IgA. Emotion. 2006.
  4. Donaldson AN, et al. Utilization of dental services and social capital in the UK. Community Dent Health. 2008.
  5. Matsuyama Y, et al. Community participation and oral health status among older adults in Japan. Gerodontology. 2016.

この記事は
医療法人社団 聖和厚生会
ウエスト歯科クリニック/玉川中央歯科クリニック
統括院長
Dr. Ryo が執筆しました。
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医院名
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