セラミック治療をすると腰痛になる?!
2026年5月19日

奥歯をセラミックにしてから、なぜか腰の調子が悪い、こうした相談は、決して少なくありません。
しかし、歯の治療と腰痛が本当に関係するのか、と疑問に思う方もいらっしゃると思います。
医学的に見ると、セラミック治療が直接腰痛を引き起こすと証明された研究はありません。
ただし、噛み合わせと姿勢、筋肉活動、体幹バランスとの関連については、国内外で数多くの研究が行われています。
ここでは、セラミック治療後に腰の不調を感じる人がいるのはなぜかという問いを、噛み合わせと身体全体のバランスという視点から、考察していきたいと思います。
セラミックの特徴

セラミックは、歯科用陶材とも呼ばれ、陶器に近い素材です。
表面は非常に滑らかで、摩擦が少ないので、見た目や清掃性の面では大きな利点となります。
たとえば、お茶碗を2〜3個重ねてみると、わずかな力でもグラグラします。
これは、滑沢な面同士が接触すると、安定しにくくなるためです。
歯科材料学の研究でも、天然歯同士の接触と比べて、セラミック表面は摩擦係数が低いことが示されています。
滑りやすさが悪いわけではありませんが、噛み合わせの要となる奥歯で滑りやすく、噛み合わせの安定感が落ちると、顎にもズレが生じやすくなるのです。
噛み合わせのズレは、身体に影響

噛み合わせにわずかなズレがあると、人は無意識のうちにバランスを取り直そうとします。
海外の研究では、噛み合わせの状態を変えると、重心の動揺や姿勢制御が変化することが報告されています。
また国内でも、噛みしめや、噛み合わせの高さである咬合高径の変化が、体幹筋や脊柱起立筋の活動に影響を与えるという研究があります。
身体は噛み合わせによって生じたズレを、一か所だけでは補正せず、頭、首、肩、背中、骨盤と、連鎖的に調整が起こって、その結果として、身体の中心に近い腰が結果的に調整役を引き受けます。
こうした状態が長く続けば、腰が張る、慢性的にだるい、腰が痛い、といった違和感につながっても、不思議ではありません。
セラミック治療で起こりやすい噛み合わせの問題

セラミックは審美性に優れていますが、欠けたり割れたりするリスクがあります。
そのため、歯科医師は無意識のうちに、強く当てないようにする、歯の中心での接触をやや控えめにする、といった調整をもしかしたら無意識でも行う可能性があるのです。
これは間違いではありません。
割れてしまえば患者さんも悲しいですし、歯科医師も責任を問われます。
お互いにそれを避けたいという、自然な判断の結果により引き起こされるわけです。
しかし、その配慮の行為にょって、本来ならしっかり噛んで支えるべき奥歯が十分に働かず、噛み合わせがズレて、その負担が、結果として腰に集中するケースが考えられるのです。
硬すぎる素材が生む、違和感
ジルコニアという人工ダイヤモンドのように、非常に硬い素材も歯科では広く使われるようになりました。
硬いこと自体は耐久性の面で優れていますが、硬すぎる素材は滑りやすく、噛んだときの感覚が乏しくなる傾向が高まります。
噛んでいるはずなのに、なぜか安定しない。
その違和感を補正しようとして、顎や筋肉、姿勢に身体全体、とくに腰への負担につながる可能性をはらんでいるのです。
どうすれば改善できるのか

ここまでの話を整理すると、問題は噛み合わせと身体全体のバランスが合っていない状態が続いていることにあります。
その改善方法は、二つしかありません。
一つは、噛み合わせそのものを見直すこと。
もう一つは、被せ物を、より噛みやすく、身体になじむものへ替えることです。
腰だけをマッサージする、痛み止めで一時的に症状を抑える、という方法では、根本的な解決には残念ながら至らないのです。
噛み合わせを本気で変えるということ

噛み合わせの調整は、歯を少し削れば済むという単純な話ではありません。
顎の動き、筋肉の緊張、姿勢、左右差、生活習慣などなど、すべてが絡み合っています。
実は、部分的な調整は、かえって別の不調を招くことがあるのです。
噛み合わせを本質的に見直して、身体の不調につながる歪みをとるためには、歯だけでなく、身体全体を一つのシステムとして捉える視点が必要になります。
トータルヘルスケアプログラム®︎という選択
そうした考え方に基づいて行われるのが、トータルヘルスケアプログラム®︎です。
このプログラムでは、どこが強く当たっているかだけを見るのではなく、噛み合わせが姿勢にどう影響しているか、身体のバランスが歯にどう反映されているか、どこで無理な補正が起きているのかといった点を、時間をかけて総合的に評価します。
目指すのは、腰が頑張らなくても良い、自然な噛み合わせであり、これは身体の中心だけに負担が集中しない状態なのです。
まとめ

すべての腰痛が、歯やセラミック治療が原因とは断定はできません。
しかし、よく考えてみると歯の治療をきっかけに違和感が始まった場合、噛み合わせのズレが原因ではないか、いう視点を考えてみる価値は十分にあります。
改善の道は、噛み合わせを変えるか、被せ物を噛みやすいものに替えるか、そのどちらか、または、両方だったらします。
そして、噛み合わせのズレを本気で整えるのであれば、トータルヘルスケアプログラム®︎のように、全身を含めて評価するアプローチが、一つの現実的な選択肢になると考えられます。
※本コラムは「ウエスト歯科クリニック」と「玉川中央歯科クリニック」の両院に、それぞれ異なる内容で掲載しています。ぜひもう一方もご覧ください。
この記事は
医療法人社団 聖和厚生会
ウエスト歯科クリニック/玉川中央歯科クリニック
統括院長
Dr. Ryo が執筆しました。
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