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シュミテクトの使いすぎは危険

2026年1月30日

結論から言うと、シュミテクトは効くが、使いすぎると歯を壊す、ということです

知覚過敏用歯磨き剤、シュミテクトは、確かに効果があると思います。

複数の臨床試験でその有効性は証明され、冷たいものや歯ブラシ刺激による痛みを軽減する効果が実証させています【文献1】【文献3】。

ただ、よく考えていただきたいのですが、シュミテクトは、痛みという症状を抑える薬であって、痛みや、しみた本質的な原因を治す薬ではないのです。

そのため、痛みが消えたことに安心して、根本的な原因を放置すると、知らぬ間に歯の摩耗や歯肉退縮が進行してまい、次第に、歯が削れて、歯に深刻なダメージを与えてしまうという最悪の結果を招くことさえあるのです。

シュミテクトは、正しく使えば頼もしい味方になるのですが、本質的な原因をしっかりと把握せずに使い続けると、少しずつ歯を壊すことにもなるのです。

理由1は、知覚過敏はしみるという症状であって、病気ではないからです

知覚過敏とは、歯が何らかのダメージにより象牙質を露出させてしまい、外部の刺激が歯の神経に伝わってしまい、痛みを感じている状態です。

主な原因は次の通りです。

例えば、歯ブラシを強く押し当て、横磨きを続けることで歯頸部が削れる、ブラッシングによる歯の磨耗。

それ以外には、食いしばりや、歯ぎしりで歯の根元に力が集中して、歯質が微細破折を起こす過度な咬合負荷。

酸性飲食物や胃酸の影響で、エナメル質が化学的に溶ける酸蝕。

歯周病、加齢、強いブラッシングなどで歯ぐきが下がり、根面が露出することで歯肉退縮。

これらが起こることで、象牙質が外界に晒されて、刺激が神経に届いて痛みを感じるのが、知覚過敏なのです【文献5】。

しみなくなる ことが、問題を悪化させる

シュミテクト使用の最大の問題として、一時的に症状が軽くなることで、治ったと錯覚してしまうことがあげられます。

人は、痛みがないと安心してしまいます。

その結果、もう大丈夫と思い込んで、引き続き、強いブラッシングを続けたり、酸性飲料を頻繁に繰り返し摂取したり、夜間の歯ぎしりを改善する努力を怠り放置する、知覚過敏を助長した原因行動を強化してしまうことが問題であると考えています。

平たく言うと、症状が無くなると安心して、行動がエスカレートすることが、知覚過敏の根本治療に着手することを遅らせてしまうのです。

症状の一時的抑制

臨床的にも、シュミテクトなどの知覚過敏用歯磨き剤は確かに痛みを抑える効果が認められています。

  • Mason ら(2019, BMC Oral Health) は、0.454%フッ化スズ配合歯磨き剤を24週間使用ふると、痛みスコアとQOLが改善する可能性を示しています
  • Alonso ら(2024, Oral) は、バイオアクティブガラス配合歯磨き剤が象牙細管を封鎖し、刺激伝達を抑制することを示しました。
  • しかし同時に、BMC Oral Health(2022) の発表では、効果は一時的で不安定であり、使用をやめると再発すると報告されています【文献6】。

つまり、シュミテクトは、症状を和らげる効果はあっても、原因を解決するやけではないのです。

なぜ知覚過敏が起きたかを検証しなければ再発

知覚過敏は歯にダメージがあるというサインであり、その症状を薬で消してしまえば、本質的な問題の解決ができずに、ダメージの進行に気づけません。

なぜ象牙質が露出したのかという原因を見極めることと、その原因を取り除くことに注視しないといけません。

ブラッシング圧の見直し、正しい磨き方への修正、歯ぎしりと食いしばりの改善、食生活の見直し、胃酸逆流の有無の確認、歯肉退縮の進行の確認、必要に応じた歯科治療による修復治療や歯肉移植。

これらを複合的に組み合わせることで、再発を防いで、しみる原因を根本から断ち切ることを目指す必要があります。

応急処置として、本来の正しい使い方

見方をかえると、シュミテクトは、非常に頼もしい歯磨き粉です。

歯科受診がすぐにできない状況、例えば、海外滞在中、船上勤務中、離島や山間地などの歯科治療がすぐにできない状況では、痛みを和らげて、応急処置として非常に役立ちます。

痛みを抑えておくと、食事、会話、睡眠が保たれてストレスを軽減できるわけです。

ただ忘れていけないのは、これはあくまで時間を稼ぐ、応急処置であり、恒久的な解決ではないということです。

帰国、帰港、通院可能な状況になったら、必ず歯科医院に行って必要な治療を受けてください。

長期使用による副作用

知覚過敏用歯磨き剤の長期の使用には、次のようなリスクが考えられます。

長期使用で歯面をわずかに削り、象牙質の露出を助長する恐れとか、しみる症状が出ないため、歯肉退縮やくさび状欠損が進行しても気づかないとか、知覚の鈍化。

こうした、なかなか気がつきにくいダメージを放置すると、突然、歯が欠ける、神経が過敏になる、ということに見舞われるのです。

痛みが消えた時こそ、生活習慣を見直す

知覚過敏用歯磨き剤を正しく使うポイントは、しみなくなった瞬間が、それを引き起こした生活習慣の見直しのチャンスなのです。

なぜしみたのか?を考え、これを機に歯磨きの力を弱める、硬すぎるブラシをやめる、酸性飲料の摂取を減らす、歯ぎしり対策をするとか、このような小さな行動の積み重ねが、知覚過敏の“ない、明るい未来をつくるのです。

シュミテクトは、知覚過敏を和らげる強い味方で、その有効性は確かです。

しかし、それは原因を一時的に抑えるだけのものでしかないのです。

効果があることに満足せずに、なぜ効かせなければならなかったか、を見つめ直すことこそが、あなたの歯の未来を確実に変えるのです。

※本コラムは「ウエスト歯科クリニック」と「玉川中央歯科クリニック」の両院に、それぞれ異なる内容で掲載しています。ぜひもう一方もご覧ください。

参考文献

  1. Mason S, Burnett GR, Patel N, et al. Impact of toothpaste on oral health-related quality of life in people with dentine hypersensitivity. BMC Oral Health. 2019;19:226.
  2. Cabral AEA, Lourenço MAG, et al. Effectiveness of desensitizing toothpastes in reducing tooth sensitivity after tooth bleaching: a systematic review. Clin Oral Investig. 2024;28:457.
  3. Alonso RCB, de Oliveira L, Silva JA, et al. Effectiveness of Bioactive Toothpastes against Dentin Hypersensitivity. Oral. 2024;4(1):36–49.
  4. Hughes N, et al. Comparative efficacy of strontium acetate and sodium fluoride dentifrice. J Clin Dent. 2010.
  5. Dentin Hypersensitivity: Etiology, Diagnosis and Treatment. Applied Sciences. 2021;13(21):11632.
  6. Desensitizing toothpastes: unstable and transient effects. BMC Oral Health. 2022;22:292.
医院名
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