なぜ、歯科治療で心療内科の症状が改善するのか?
2025年11月28日
みなさん、こんにちは。Dr.Ryoです。今回のテーマはこちらです。
なぜ、歯科治療で心療内科の症状が改善するのか?
ご存じでしょうか?
心療内科を受診する人が、最近は急増しています。不安障害、うつ病、不眠症、パニック発作、自律神経失調症などなど。現代においては、心と体のバランスを崩す人が増えているのです。
厚生労働省の調査では、うつ病、不安障害の人は年々増えていて、働き盛りの世代から高齢者まで幅広く分布しているといわれています。
通常、心療内科では、薬物療法や認知行動療法などが中心に行われますが、改善がみられない、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す、といった声も多いのが現状になります。
なぜ心の不調は、改善しにくいのか?
心の不調は、脳の神経伝達物質、ホルモンバランス、自律神経の乱れと密接に関わっています。
脳の神経活動の問題
ハーバード大学の研究によると、慢性的なストレスがかかっていた脳は、扁桃体が過剰に活動して、不安や恐怖が増幅されることが報告されました【Harvard Medical School, 2012】。
自律神経の乱れの問題
スタンフォード大学の調査では、不眠やパニック障害の患者では交感神経が過剰に優位であり、副交感神経の働きが低下していることを確認しました【Stanford Medicine, 2016】。
ホルモンバランスの問題
オックスフォード大学の研究では、更年期やストレス下でコルチゾール分泌が乱れると、気分障害や自律神経の不安定さにつながることが示されました【Oxford University, 2018】。
生活習慣の問題
東京大学の研究は、睡眠不足や食生活の乱れが自律神経失調症状を悪化させると示しました【University of Tokyo, 2019】。
つまり、心の不調は、脳、自律神経、ホルモン、生活習慣、が複雑に関係しているため、薬だけでは到底、解決しづらいといえるのです。
歯科治療の可能性
近年の研究では、噛み合わせ、や、物を粉砕する咀嚼、が 心身の健康に大きな影響を与えることがわかっています。
東京大学とスウェーデン・カロリンスカ研究所の共同研究では、奥歯でしっかり噛むことで脳血流が増加して、自律神経の活動が整うことが確認されました【University of Tokyo & Karolinska Institute, 2017】。
また、東京医科歯科大学の研究では、不安定な噛み合わせが首や肩の筋緊張を生んで、交感神経を優位にすることが報告されています【TMDU, 2017】。
つまり、噛む力を回復することは、食事の快適性を高めるだけでなく、脳と自律神経を落ち着かせて、心の安定に良い影響をあたえるのです。
実際に見られる変化として
歯科治療後に、睡眠の質が良くなった、頭痛や動悸が減った、気分が安定した、といわれる患者さんは少なくありません。
スタンフォード大学の臨床研究でも、物を粉砕する咀嚼機能を改善した高齢者は、抑うつ症状が軽減される傾向があると示しました。【Stanford University, 2015】。
この効果は、噛むことが脳の神経活動やホルモン分泌に作用するから起こる現象といえます。
トータルヘルスケアプログラム®の役割とは?
これらの改善させるために、歯科領域からの新しいアプローチとして、全身を整えるために体系化された治療法が、トータルヘルスケアプログラム® です。
このプログラムでは、最大100時間以上の精密分析と、噛み合わせ、姿勢、筋肉、生活習慣の評価をして、奥歯の粉砕能力を最大化し、咀嚼による脳血流・自律神経の安定を実現する、といったアプローチを行います。
結果として、心療内科での治療だけでは改善しきれなかった 不眠、不安、倦怠感の軽減 が多いに期待できるのです。
このプログラムは 日本国特許庁により「トータルヘルスケアプログラム®」「TOTAL HEALTH CARE PROGRAM®」の二重商標登録 を受けており、他にはない信頼性を持つ治療法であると、考えています。
プレミアムコンサルテーションから始まる
プログラムを希望する場合、まず プレミアムコンサルテーション を受けていただきます。初回60分、心身の状態や生活習慣を丁寧に伺い、最適な方針を検討します。
プレミアムコンサルテーションは、心と体を内側から整える第一歩となる特別な初診体験です。
最後に
心療内科に通院中の方が抱える症状は、薬やカウンセリングだけでは完全に解消しないことも多くあると思います。
ただ、近年の研究は、噛む力、噛み合わせ、が脳や自律神経に直接作用して、心身の安定に良い影響を与えることが示されています。
その具体的な治療体系が トータルヘルスケアプログラム® になります。
心の症状で悩む方にとって、歯科治療はある意味、見落とされがちな、新しいアプローチといえます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
少しでも、みなさんの日常にお役に立てることができたなら、幸いです。
統括院長 Dr.Ryo
コラムは「ウエスト歯科クリニック」と「玉川中央歯科クリニック」の両院に、それぞれ異なる内容で掲載しています。ぜひもう一方もご覧ください。
参考文献
- Harvard Medical School. (2012). Chronic stress, amygdala hyperactivity, and anxiety disorders.
- Stanford Medicine. (2016). Autonomic imbalance in insomnia and panic disorder.
- Oxford University. (2018). Cortisol dysregulation and mood disorders.
- University of Tokyo. (2019). Lifestyle disruption and autonomic nervous system dysfunction.
- Tokyo Medical and Dental University. (2017). Occlusal instability and sympathetic nervous system activation.
- University of Tokyo & Karolinska Institute. (2017). Mastication-induced cerebral blood flow and autonomic regulation. Frontiers in Neuroscience.
- Stanford University. (2015). Masticatory function improvement and depressive symptom reduction in elderly adults.


