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虫歯は何歳からなりやすいのか

2025年12月16日

こんにちは、ドクターリヨウです。今回のテーマはこちらです。

虫歯は何歳からなりやすいのか

虫歯は、う蝕ともいいますが、世界中で最も一般的な疾患の一つで.年齢を問わずに発症する可能性があります。実は、何歳から虫歯はなりやすいのか?、に答えるためには、歯の発育、食生活、口腔清掃習慣、社会的環境を考えなければなりません。虫歯は、人生の年代別でリスクのピークというものが存在します。

本コラムでは、年齢ごとの特徴を整理して、虫歯になりやすい時期について論文を交えながら、詳しく考察していきます。

最初の虫歯が出現するのは乳幼児期

乳歯の萌出は生後6か月前後から始まります。実は、この時期の歯は未成熟でエナメル質が薄いため、虫歯の進行が早いです。

特にリスクが高くなるのは、 1歳半から3歳頃になります。哺乳瓶に甘い飲料を入れて飲ませる習慣は、哺乳瓶う蝕、を引き起こして、上の前歯を中心に急速に進行すると言われています(Berkowitz RJ, Pediatr Dent, 2003)。また、離乳食が始まって、砂糖を含む食品が増えることも虫歯リスクを高めます。

永久歯萌出に伴うリスクが増大する学童期

6歳前後になると、最初の永久歯の 6歳臼歯、別名、第一大臼歯が生えてきます。この歯は噛み込む咬合面の溝が深くて、清掃が難しいため、虫歯になりやすい歯の代表的な歯で、学童期の虫歯の多くはこの6歳臼歯に集中しています(Petersen PE, Community Dent Oral Epidemiol, 2003)。

また、この時期は間食やおやつをとる機会が多くなる時期でもあり、砂糖摂取量が増える傾向があります。十分なブラッシング習慣が身についてなければ、虫歯のリスクが高まってくると考えられます。

生理的変化と生活習慣の影響がでる思春期

12〜18歳の思春期は、永久歯列が完成する重要な時期です。この時期の虫歯リスクは、いくつかの要因によって高まります。

その要因の一つが、ホルモン変動です。つまり、思春期はホルモンバランスの変化によって歯肉が炎症を起こしやすく、清掃不良から虫歯になりやすいのです(Albandar JM, J ClinPeriodontol, 2002)。

つぎの要因が、食習慣の乱れがあります。部活動、受験勉強によって間食や夜食が増えて、甘味摂取の頻度が高くなります。

最後に、不十分なセルフケアです。

思春期は親の管理からやや開放されて、自分で歯磨きを行うようになりますから、十分磨けているとはいえないので、虫歯リスクが高くなるといえます。

このため、思春期は、第2の虫歯ピーク、といえるのです。

再発虫歯と生活習慣病

20〜40代では、乳幼児期や学童期のような虫歯が急増することは少なくなりますが、この時期特有の問題が現れます。

再発虫歯という名の、二次う蝕です。これは、一度治療した歯の詰め物や被せ物の隙間から虫歯が再発する、このようなケースが増えてきます。

次に、生活習慣の影響があげられます。

忙しい社会生活の中では、間食、飲酒、喫煙習慣が虫歯リスクを高めます。さらに、炭酸飲料やエナジードリンクの常用は歯の脱灰を促進するので、虫歯リスクが高まります。

次に、ストレスによる唾液分泌の低下があげられます。

慢性的なストレスは唾液の量や質を変化させて、虫歯を進行させる要因になります(Humphrey SP, J Prosthet Dent, 2001)。

根面う蝕の増加する高齢期

60歳を超えると、歯ぐきが退縮して歯の根元である象牙質が露出します。エナメル質に覆われていない象牙質は、酸に弱いため、根面う蝕のリスクが高くなります(Griffin SO, J Dent Res, 2012)。

それだけでなく、唾液腺の機能が低下して、口腔乾燥というドライマウスが進行してきます。さらに、高血圧や糖尿病などの治療薬による副作用で口渇が生じて、虫歯リスクが高まります。それ以外にも入れ歯やブリッジの清掃不足も虫歯の原因となり得ます。

人生の各段階における虫歯リスク

  1. 乳幼児期(1〜3歳)
    乳歯の虫歯、特に哺乳瓶う蝕が発生。
  2. 学童期(6〜12歳)
    6歳臼歯を中心に虫歯が増える。
  3. 思春期(12〜18歳)
    食習慣の乱れとセルフケア不足で虫歯リスク増大。
  4. 成人期(20〜40代)
    再発虫歯が問題化。生活習慣やストレスが影響。
  5. 高齢期(60代以降)
    根面う蝕が増え、慢性的な口腔乾燥が悪化要因。

結論

虫歯は、何歳からなりやすいか?

まず、乳歯が萌出する 1歳半〜3歳 に初めてリスクが現れます。次いで、永久歯が萌出する 6〜7歳 にも大きなリスクがあり、思春期にも生活習慣とホルモン変化によって再びリスクが高まってきます。成人期以降は 再発 と 根面う蝕 が中心であり、高齢期には唾液低下と歯肉退縮によって慢性化していきます。

つまり、虫歯は 特定の年齢に限定された病気 ではなく、人生のさまざまな段階で異なるリスク要因によって繰り返し出現しますから、生涯を通じた予防が大切であるといえるのです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今回の内容が、みなさんのお役にたてると幸いです。

統括院長 Dr.R.Ryo

コラムは「ウエスト歯科クリニック」と「玉川中央歯科クリニック」の両院に、それぞれ異なる内容で掲載しています。ぜひもう一方もご覧ください。

参考文献

  1. Berkowitz RJ. Causes, treatment and prevention of early childhood caries: a microbiologic perspective. Pediatr Dent. 2003.
  2. Petersen PE. The World Oral Health Report 2003. Community Dent Oral Epidemiol. 2003.
  3. Albandar JM. Global risk factors and risk indicators for periodontal diseases. J Clin Periodontol. 2002.
  4. Humphrey SP, Williamson RT. A review of saliva: normal composition, flow, and function. J Prosthet Dent. 2001.
  5. Griffin SO, Griffin PM, Swann JL, Zlobin N. Estimating rates of new root caries in older adults. J Dent Res. 2012.
医院名
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所在地
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