口臭は、いつから起きる?
2026年2月24日
結論をいいます。
口臭は、思春期から誰にでも起こる自然な現象であり、成人期から病的に変わるのです。
口臭は、ある日突然始まるものではありません。人の成長とともに、少しずつ性質を変えて現れるのです。
乳幼児のころはほとんど無臭ですが、学童期になると虫歯や口呼吸によって初めてにおいが出始めます。
思春期にはホルモンの変化や精神的な影響で口臭が一時的に強くなり、成人期以降になると歯周病や生活習慣の影響が加わって病的口臭として慢性化するのです。
つまり、誰にでも起こる自然な口臭は思春期から始まり、問題として現れるのは成人期からいうのが科学的な答えとなります。
乳幼児期
生まれたばかりの赤ちゃんや乳児の口の中は、ほとんど無臭になります。唾液の量が多く、細菌の数が少ないため、においのもととなるガスが発生しにくいのが特徴です(Loesche, 1993)。
ただし、例外もあります。
風邪や扁桃炎などの感染症、舌の表面に白い汚れ(舌苔)がたまる場合、あるいは鼻づまりが原因で口呼吸が続く場合には、一時的に口臭が出ることがありますが、それでも、一過性であり、健康な子どもの場合はすぐに改善していきます。
学童期
小学校に上がるころ、乳歯が抜けて永久歯が生え始めるのですが、この時期は虫歯が増えやすく、初めて明確な口臭が感じられることがあります(Petersen, 2003)。
虫歯の穴や歯ぐきのすき間に細菌がたまり、発酵によってにおいを発するのです。
また、鼻づまりやアレルギーによって口で呼吸する習慣がつくと、口の中が乾燥しやすくなり、唾液が減ると、細菌が繁殖しやすくなることで、朝起きたときなどに「子どもの口が少し臭う」と感じることがあります。
これが多くの人にとって、最初に経験する口臭です。
思春期
思春期に入ると、ほとんどの人が自分の口臭を意識し始めます。この時期に起こる変化は、主に三つです。
第一に、ホルモンバランスの変化です。
エストロゲンやアンドロゲンなどの性ホルモンが増えることで歯ぐきが腫れやすくなり、歯肉炎が起こりやすくなるのです(Mariotti, 1994)。とくに女性では思春期性歯肉炎がよく見られ、口臭が強まることがあります。
第二に、精神的なストレスや緊張による唾液の減少です。
緊張すると口が乾くのは、交感神経が優位になり唾液の分泌が抑えられるためです。唾液が減ると細菌が繁殖しやすくなり、緊張すると口が臭うと感じることがあります。
第三に、他人との関わりが増える社会的要因です。
周囲の目を気にするようになることで、においへの意識が高まります。そのため、実際よりも自分だけが強く感じる、心理的口臭が現れることもあります。
この時期の口臭は一時的で、主に生理的口臭と呼ばれています。これは、起床時や空腹時、緊張したときに一時的に強くなるのが特徴です(Tonzetich, 1977)。
成人期
成人期に入ると、歯周病や虫歯などの慢性疾患が増えて、病的口臭と呼ばれる状態が多くなります。
とくに歯周病は、強いにおいを伴う代表的な原因といえます。歯ぐきの炎症や膿がVSCを発生させて、持続的な悪臭を生み出すのです(Morita, 2001)。
この時期には、生活習慣も大きく影響してきます。喫煙は口の中を乾かし、歯周病菌を増やす原因となります。アルコールやストレスも唾液の分泌を減らし、細菌の活動を活発にするのです。さらに、肉類や加工食品の多い食生活は、口臭のもととなる物質を増やしてしまいます。
成人期の口臭は一時的なものではなく、慢性的に続く傾向があり、放置すると、治療が必要な病的口臭に発展することが多いのです。
高齢期
高齢になると、唾液腺の働きが弱まり、口の中が乾きやすくなります(Navazesh, 1993)。
唾液が少なくなると自浄作用が落ち、細菌が繁殖してにおいが出やすくなるのです。
また、高血圧や糖尿病、うつ病などの薬は副作用として口の渇きを引き起こすことが多く、これも口臭の原因になるのです。
入れ歯や差し歯の清掃が不十分だと、細菌が溜まりやすくなり、独特のにおいを発することもあります。
さらに、糖尿病や胃腸の病気など全身疾患が加わると、体の内部からにおいが生じる病的口臭が目立つようになってきます(Tangerman, 2002)。このように高齢期の口臭は多因的で、慢性化しやすいのが特徴といえるでしょう。
まとめ として
口臭は、年齢によってその原因と性質が変化しています。
赤ちゃんのころはほとんど無臭ですが、学童期に虫歯や口呼吸によってにおいが出始め、思春期にはホルモンや心理的要因で誰にでも一時的に現れます。
成人期には歯周病や生活習慣の影響で病的に悪化し、高齢期には唾液分泌の低下や薬の影響で慢性化していきます。
つまり、口臭は思春期以降に自然に始まり、成人期から慢性化しやすくなる特徴をもっています。
口臭は誰にでも起こる生理的なサインであり、正しいケアと生活習慣の見直しによって、十分に防ぎ・改善できるものであることを理解していただけると嬉しいです。
※本コラムは「ウエスト歯科クリニック」と「玉川中央歯科クリニック」の両院に、それぞれ異なる内容で掲載しています。ぜひもう一方もご覧ください。
参考文献
- Loesche WJ. Microbiology of dental decay and periodontal disease. J Dent Res. 1993.
- Petersen PE. The World Oral Health Report 2003. Community Dent Oral Epidemiol. 2003.
- Mariotti A. Sex steroid hormones and cell dynamics in the periodontium. Periodontol 2000. 1994.
- Tonzetich J. Production and origin of oral malodor: a review. J Periodontol. 1977.
- Morita M, Wang HL. Relationship between oral malodor and periodontal disease. J Periodontol. 2001.
- Navazesh M, Christensen CM. A comparison of whole mouth resting and stimulated salivary measurement procedures. Gerodontology. 1993.
- Tangerman A, Winkel EG. Extra-oral halitosis: an overview. Ned Tijdschr Tandheelkd. 2002.


