膠原病を治す〇〇治療
2026年1月9日
膠原病を治す〇〇治療
免疫を整える口の医学という新しい視点で考察します。
結論として、膠原病は治らない病気ではないと考えています。
膠原病は昔から治らない病気としていわれてきました。
ステロイドや免疫抑制剤を飲み続けながら、症状の進行を少しでも遅らせるイメージです。
今まで、多くの患者さんがそうして日々を過ごしていると思います。
しかし近年、膠原病の根底にある免疫の暴走は、口の中の環境と関係しているのではないか、という考えもでてきています。
つまり、口腔のバランスを整えると、暴走した免疫のバランスを回復する道が開かれる可能性があるということです。
口の中は、全身の免疫の入り口
人の体はひとつであり、色々と繋がって機能しています。
例えば、口です。食べる、話す、呼吸、すべてが口で行われています。
この口の中は、免疫細胞が最も多く集まる場所のひとつであり、歯ぐきや舌の粘膜には常に数百億もの細菌が存在していますから、そのバランスを保つことこそが、免疫を整える第一歩になるのです。
ということは、歯周病や噛み合わせの異常が起きて免疫のバランスが崩れると、体は常に炎症状態になってしまいます。
この慢性的な炎症状態が、膠原病のような自己免疫疾患の発症や悪化を助長すると、世界中の研究で注目されてきています。
歯周病と膠原病を結ぶ、免疫
米国ネブラスカ大学のミクルス教授(Mikuls, 2014)は、関節リウマチ患者の歯ぐきから歯周病菌を発見しました。
この菌が作り出す酵素であるペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)が、関節リウマチの特徴的な自己抗体である抗CCP抗体を誘発することを示しました。
そして、岡山大学と東京医科歯科大学の共同研究(Okada, Annals of the Rheumatic Diseases, 2011)では、歯周病の治療を行うと関節リウマチ患者の炎症マーカー(CRP・ESR)が改善することが確認されています。
つまり、口腔の炎症を抑えることが、全身の免疫の暴走を抑制する可能性があると考えられるのです。
このことは、リウマチだけでなく全身性エリテマトーデス(SLE)やシェーグレン症候群などの膠原病にも共通しています。
口の中が、免疫の乱れの発振源となる可能性が高い、という考えは、国際的にみても共通認識になりつつあるのです。
噛み合わせと自律神経、そして免疫
みなさんが、意外と見落とされがちな要素として、噛み合わせ があります。
実は、噛み合わせが不安定になると、顎関節を中心に首、肩、背中の筋肉が緊張して、姿勢が歪んで自律神経が乱れてきます。
自律神経は免疫の司令塔であり、そのバランスが崩れると、免疫系全体が過剰に反応しやすい体質へと傾いていくのです。
ハーバード大学の研究チーム(Okeson, Journal of Oral Rehabilitation, 2010)は、咬合の改善によって**心拍変動(HRV)**が整い、自律神経活動が安定することを報告しています。
また、東京医科歯科大学(2008)の研究では、噛み合わせの問題がストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を増やして、免疫を抑制する方向に作用することを確認しています。
このことは、噛み合わせを正しく整えることが、全身の免疫バランスを整える重要な要素であると示しています。
口腔ケアがもたらす希望
口の中で免疫が変わる、と聞くと、驚かれるかもしれませんが、アメリカ・スタンフォード大学の臨床研究(Telles, Clinical Rheumatology, 2019)は、そのことを裏付けています。
SLE(全身性エリテマトーデス)の患者に、生活習慣の改善と口腔ケアを組み合わせたプログラムを行ったところ、疾患活動性が低下して、炎症マーカーも減少したそうです。
薬ではなく、食事と歯科領域のケアによる改善効果なのです。
東京歯科大学と東北大学の共同臨床研究(高橋ら, 日本口腔診断学会雑誌, 2016)では、シェーグレン症候群の患者に歯科的介入を行った結果、口の乾燥症状が軽減して、全身の炎症指標が改善しました。
これらのことから、膠原病を治療する方法のひとつは、口の中にあるのです。
治療の新しいアプローチとして
膠原病は、免疫の暴走をいかに鎮めるかが治療の本質ですから、薬で抑え込むだけでなく、体が本来持つ調整力を取り戻すことこそが大切だと考えました。
そこで私たちは、トータルヘルスケアプログラム®という包括的な医療を提供しています。
これは単なる歯科治療ではなく、咬合、姿勢、呼吸、自律神経、生活リズム、などを100時間以上かけて精密に分析して、その人だけのオーダーメイド治療です。
主に、噛み合わせの調整により、首や肩の緊張がゆるんで、呼吸が深くなってきて自律神経が安定してきます。
そこから免疫が再びバランスを取り戻していくようにサポートするのです。
実際にプログラムを受けた膠原病の患者の中には、睡眠の質があがり、傷の治りもはやくなり、握力も倍増するだけでなく、気力が増して、なんでもやりたいことをやれるように変化した例もあります。
この変化は私からすると、奇跡ではなく、体が本来持っている正常な回復のしくみが再び動き始めた結果なのです。
治らない、と言われたその先へ
膠原病は、非常に難しい病気だと思います。
しかし、治らないという言葉をそのまま受け入れたくはないのです。
免疫は、日々の生活、心の状態、口の中の健康に応じて変化していくものです。
だからこそ、歯科から全身を見るという新たな発想は、これからの医療における大きな希望になる時考えています。
もしあなたが、長年薬を続けても良くならないと感じているなら、まずは自分の口の中を見直してみてはいかがでしょうか。
そこには、あなたの免疫を支える、もうひとつの治療のカギがあると考えています。
最期まで読んでいただきありがとうございました。
健康への新しいアプローチ!いかがでしたでしょうか?
今、治らない病気があるのであればら、既存の常識ばかりにとらわれずに、新しいアプローチを選択することも重要であると思います。
統括院長 Dr.Ryo
※本コラムは「ウエスト歯科クリニック」と「玉川中央歯科クリニック」の両院に、それぞれ異なる内容で掲載しています。ぜひもう一方もご覧ください。
参考文献
- Mikuls TR, et al. Periodontitis and Porphyromonas gingivalis in patients with rheumatoid arthritis. Arthritis Rheum. 2014.
- Okada M, et al. Periodontal treatment improves rheumatoid arthritis disease activity. Ann Rheum Dis. 2011.
- Okeson JP, et al. Occlusion and the autonomic nervous system. J Oral Rehabil. 2010.
- 川添堯彬. 「咬合異常とストレス応答の関連」 日本補綴歯科学会雑誌. 2008.
- Telles RW, et al. Lifestyle interventions and oral health care in systemic lupus erythematosus. Clin Rheumatol. 2019.
- 高橋ら. 「シェーグレン症候群に対する歯科的介入の全身的影響」 日本口腔診断学会雑誌. 2016.


