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息苦しさと噛み合わせ

2025年12月26日

みなさん、こんにちは。Dr.Ryoです。論文から学ぶシリーズ、今回のテーマはこちらです。

息苦しさと噛み合わせ

呼吸の不調と歯のかみ合わせ

最近、なんだか息苦しい、呼吸が浅い気がする、そんな症状を訴える方は意外と多いのではないでしょうか? 一般的には、原因は心臓や肺にあると思われがちですが、実際には 、噛み合わせ、 が関係しているケースも多いのです。

噛み合わせが悪いと顎の位置がずれやすくなり、気道を圧迫しやすくなり、呼吸がしづらくなって、慢性的な息苦しさ、疲労感、睡眠の質の低下につながることがあります。特にストレスをかかえていたり、猫背・スマホ首のように姿勢が悪い人は、噛み合わせがズレやすく、それが呼吸障害と重なるケースが増えているのです。

噛み合わせと呼吸のメカニズム

顎の位置と気道

悪い噛み合わせは、下顎を後方や側方にずらす原因になります。下顎が後退すると、舌の位置も後方へ押し込まれて、特に咽頭部にある気道が狭くなり、吸気時に空気の通り道が圧迫されて、呼吸が浅くなるのです。

夜間、睡眠時は、筋肉の緊張がゆるむため、この気道の狭窄は著しくなります。いびき、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まって、日中の疲労感や集中力低下を招くようになるのです。

噛み合わせと姿勢

正しい噛み合わせは、頭頸部のバランスを保ちますが、噛み合わせがズレると頸椎が前傾し、胸郭が圧迫されやすくなり、胸が圧迫されることから呼吸の深さが制限され、息苦しいという感覚が生じやすくなるわけです。

具体的な症状と臨床例

慢性的な息切れ

40代女性のケースでは、心肺に異常はないのですが、階段を上がるとすぐ息切れするというお悩みで受診されました。噛み合わせ分析で下顎が後退し、舌が気道を圧迫していることが判明したため、スプリント療法と噛み合わせ調整で、息苦しさの軽減をしました。

睡眠時無呼吸

肥満のある50代男性のケースでは、顎の後退が強く夜間の無呼吸が顕著でした。下顎を前方に保持するオーラルアプライアンスという装置を使用したところ、無呼吸指数(AHI)が半減。日中の眠気が改善したそうです。

姿勢性呼吸困難

デスクワークをされる、猫背の30代女性のケースでは、片側咀嚼の癖で噛み合わせがズレて、胸郭が圧迫される姿勢になっていました。理学療法と咬合治療を組み合わせた結果、呼吸の深さが改善したそうです。

科学的エビデンスとして

噛み合わせと呼吸

研究では、不安定な噛み合わせや下顎後退が気道の形態に影響することがCTやMRIで確認されました。特に下顎後退症の患者では、咽頭気道が狭い傾向があり、呼吸障害のリスクとなることが報告されています

睡眠時無呼吸症候群との関係

睡眠時無呼吸症候群(OSA)の患者の多くに、下顎後退や噛み合わせ異常が認められます。口腔内装置による下顎前方移動で気道が広がり、睡眠時無呼吸症候群の重症度をはかるAHIが改善することは国際的にもエビデンスが確立しています

姿勢と胸郭の可動性

悪い姿勢により胸郭圧迫が呼吸に影響することは理学療法学の分野でも多数報告されており、噛み合わせと姿勢の矯正を組み合わせることで呼吸が改善する例が多く示されています

息苦しさを和らげるための噛み合わせケアは?

歯科的アプローチとしては

・トータルヘルスケアプログラム®︎などの噛み合わせの分析と調整
・マウスピース(スプリント)治療、入れ歯・ブリッジ・インプラントによる噛み合わせの再建 

生活習慣の改善としては

・猫背を防ぐ姿勢改善
・両側でバランスよく噛む習慣
・食いしばりの軽減が期待できるストレス管理

セルフチェックとしては

・口を閉じて深呼吸した時、息苦しくないか
・朝起きた時に喉が渇いてないか
・片側だけで噛んでないか

全身とのつながりとして

無呼吸や呼吸障害は高血圧や心疾患リスクを高めて、酸素不足は集中力低下や認知症リスクにつながります。また、睡眠の質の低下は糖尿病・肥満とも関与するのです。

つまり、息苦しさ、があった場合は、たまたまそうなったという理解ではなく、噛み合わせを含めた多角的な視点で原因を探ることが健康寿命を延ばす第一歩となるというわけです。

まとめとして

息苦しさは不快感だけではなく、全身の健康に警鐘を鳴らすサインです。噛み合わせを整えることは、呼吸を深め、心身を軽くし、生活の質を劇的に高める可能性を秘めているのです

ウエスト歯科クリニック、玉川中央歯科クリニックでは、呼吸はもちろんのこと、健康寿命と噛み合わせの関連に注目した独自の診療を行っています。 特に トータルヘルスケアプログラム®は、噛み合わせと姿勢、呼吸を含めた身体全体の分析を行い、根本的な改善へと導いていますから、より高度なアプローチをご希望の場合は、ご相談ください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

みなさんの今までの常識ではない、全く新しいアプローチを今後もご紹介していきます。

私自身が体を張って、400回以上、被せ物を入れ直して、噛み合わせの調整も10万回以上してきて、たどり着いた答えを、国内外の論文を通じて、提供しています。

統括院長 Dr.Ryo

参考文献

  1. Lowe AA. et al. “Cephalometric analyses of obstructive sleep apnea patients before and after mandibular advancement appliance therapy.” Am J Orthod Dentofacial Orthop.
  2. Sutherland K. et al. “Oral appliance treatment for obstructivesleep apnea: an update.” J Clin Sleep Med.
  3. Okuro RT. et al. “Posture and breathing: the impact of body position on respiratory function.” J Bras Pneumol.

※本コラムは「ウエスト歯科クリニック」と「玉川中央歯科クリニック」の両院に、それぞれ異なる内容で掲載しています。ぜひもう一方もご覧ください。

医院名
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