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保険の白い歯は大丈夫?

2026年7月17日

保険でできる白い歯の本当の実力

保険適用の白い歯のイメージ

結論をいいます。

 長期的な信頼性には疑問。

保険適応の白い歯、通称、CAD/CAM冠は見た目が白く、保険で作れるという大きな利点があるのですが、割れやすく、すり減りやすく、変色しやすい材料なのです。

ご存じでしたか?

短期間であれば、まだ良いかもしれませんが、長期的に安定して使うには限界があり、噛み合わせの調整次第では全身に影響が及ぶ可能性さえある材料なのです。

では、なぜ、歯科医師から勧めることがあるのか?

それは、実は、噛み合わせを十分精通している歯科医師でないと、その問題点がわからないのです。

つまり、長期目線で考えるのか、短期目線なのか、という差が意見の相違を生み出すわけです。

素材の問題だけでなく、他にも問題となることがあります。

それは、歯科治療の現場では、破折を避けるために意図的に噛み合わせを弱く調整することが頻繁にあります。

しかし、その状態では、食べ物をしっかり噛めなくなり、次第に消化機能が低下したり、自律神経のバランスに影響したりするリスクがあるのです。

ここからは、国内外の大学の研究をもとに、CAD/CAM冠の現実的な強みと弱点を具体的に見ていきましょう。

CAD/CAM冠とは?

CAD/CAM冠の制作の様子

CAD/CAM冠(キャドキャム冠)は、コンピュータで設計(CAD)し、機械で削り出して製作(CAM)する被せ物です。

材料はハイブリッドレジンブロックと呼ばれる樹脂とセラミックの複合素材です。日本では2014年に保険に導入され、小臼歯に始まり、現在では大臼歯や前歯にも広がっています。

白くて自然に見え、金属を使わないためアレルギーの心配も少なく、費用も抑えられるのですが、しかし、その構造的な性質上、強度や耐久性は純粋なセラミックや金属に劣ります。

名前を改めて見てください。レジンブロックですから、レジンとはプラスチックのことです。そのことからも、強度がないことが予想できます。

割れやすさ

割れた歯のイメージ

国内大学病院が示した実態

東京医科歯科大学の臨床研究ではCAD/CAM冠の2年生存率は約90%と報告されていますが、その失敗の多くは「破折」と「脱離」でした(Yoshihara et al., 2017)。

九州大学の追跡調査でも、特に奥歯では強い咬合力に耐えられず、2〜3年で割れる症例が一定数見られたと報告されています(Inoue et al., 2018)。

つまりCAD/CAM冠は、短期的には十分機能するが、強い力に長期間耐えるのは難しいのです。

咬耗・摩耗・着色

変色した歯が目立つ口元

大阪大学の研究では、CAD/CAM冠はセラミックに比べて摩耗と変色が早期に出やすいことが示されています(Nishigawa et al., 2019)。

コーヒーや喫煙などの生活習慣を持つ患者では、わずか数年で審美性の低下が顕著になるケースもあるようです。

またスウェーデンのカロリンスカ研究所の研究では、ハイブリッドレジン系の修復材料はフルセラミックより摩耗量が有意に多いと報告されています(Olsson et al., 2020)。

咬合面がすり減ることで噛み合わせのバランスが崩れ、歯や顎関節に負担を与えることもあるのです。

噛み合わせがもたらす全身への影響

嚙み合わせの模型

臨床現場では、CAD/CAM冠が割れないようにするために、意図的に噛み合わせを弱く調整することがあります。

ところがこの処置が、思わぬ弊害を招くのです。

噛む力が弱くなると、食べ物を十分に粉砕できず、丸呑みとなり、消化器に負担がかかります。

さらに、よく噛むこと自体が脳や自律神経を刺激する重要な行為であるため、咀嚼不足はストレス耐性の低下や自律神経の乱れにもつながると報告されています(東北大学 咀嚼研究グループ, 2015)。

つまり、CAD/CAM冠を守るために噛み合わせを犠牲にすることが、全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があるということなのです。

海外の大学の研究から見た長期的評価

評価のイメージ

2019年のハーバード大学歯学部のレビュー論文では、CAD/CAM冠は短期的なコストパフォーマンスに優れるが、破折と摩耗が臨床上の大きな課題と結論づけられています(Miyazaki et al.)。

2020年のドイツ・フライブルク大学の10年追跡研究では、フルセラミック冠と比較してCAD/CAM冠の長期生存率は有意に低く、特に奥歯では10年間もつ症例は少ないと報告されています(Zimmermann et al.)。

このように、世界的な研究の流れを見ても、CAD/CAM冠は一時的な治療材料としての位置づけにとどまり、長期安定性ではセラミックや金属には到底、及ばないのです。

患者さんが知っておくべきこと

オールセラミックの歯

CAD/CAM冠は、「保険で白い歯を入れたい」という希望を叶える有効な手段です。

しかし、強い力がかかる場所では割れやすく、摩耗や着色によって数年で見た目が変化します。また、長く使うほど噛み合わせや全身の機能に影響が出る可能性があるという弱点をもっているのです。

もし、長期間安定した機能と審美性を求めるなら、フルセラミックやゴールドの方が圧倒的に優れています。

初期費用は上がりますが、再治療のリスクを減らし、結果的に体への負担も少なく済むことは間違いありません。

まとめとして

歯科治療を受ける女性

CAD/CAM冠は短期的には便利、長期的なことを考えると、選択するのは慎重になる材料です。

そして、破折や摩耗を避けるために噛み合わせを弱く調整しないといけないため、咀嚼効率が大幅に落ちて、胃腸や自律神経にも影響を及ぼす可能性が出てくるのです。

そのため、当院では、おすすめすることはありません。

歯は、食べるための器官であると同時に、全身のバランスを支えるシステムの一部でもあります。

見た目の白さだけでなく、機能・健康・将来の安定性を考えて、素材を選ぶことが大切です。

国が認めたから、大丈夫と闇雲に信用するのではなく、健康としての投資として体に良いものを選択肢するようにしてください。

くれぐれも、目先の、白さに目を奪われないように。

人生は先が長いですから。

※本コラムは「ウエスト歯科クリニック」と「玉川中央歯科クリニック」の両院に、それぞれ異なる内容で掲載しています。ぜひもう一方もご覧ください。

参考文献

  1. Yoshihara K, et al. Clinical performance of CAD/CAM composite crowns: 2-year results. Dental Materials Journal. 2017. 東京医科歯科大学
  2. Inoue G, et al. Clinical evaluation of CAD/CAM crowns on molars: 3-year outcomes. J Prosthodont Res. 2018. 九州大学
  3. Nishigawa G, et al. Wear and discoloration of CAD/CAM composite crowns: Clinical study. Journal of Prosthodontics. 2019. 大阪大学
  4. Olsson KG, et al. Wear of hybrid resin CAD/CAM materials compared to ceramics. Acta Odontol Scand. 2020. カロリンスカ研究所
  5. 東北大学 咀嚼研究グループ. 咀嚼と自律神経機能に関する基礎研究. 2015.
  6. Miyazaki T, et al. CAD/CAM restorations: A systematic review. J Dent Res. 2019. ハーバード大学
  7. Zimmermann M, et al. Ten-year survival of CAD/CAM crowns versus all-ceramic crowns. Clinical Oral Investigations. 2020. フライブルク大学

この記事は
医療法人社団 聖和厚生会
ウエスト歯科クリニック/玉川中央歯科クリニック
統括院長
Dr. Ryo が執筆しました。
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医院名
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