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歯がなくても元気でいられる人の特徴

2025年12月30日

みなさんこんにちは。ドクターリヨウです。論文で学ぶシリーズ、今回のテーマはこちらです。

歯がなくても元気でいられる人の特徴

歯と健康の関係をどう捉えるかということが大切です。

歯を失うことは、従来、健康寿命を縮める、と考えられてきました。実際に、2012年の東京医科歯科大学の調査では、残存歯数が多い人ほど生活の質が高く、フレイルのリスクが低いことが報告されていますから間違いないと思われます。(Tada A, Hanada N, Gerodontology, 2012)。

しかし、現実には 歯が少なくても元気に暮らしている高齢者 も存在しますよね。とても不思議なのですが、このことは、単に歯の本数だけでは、健康を語れないことを示しています。

そこで、本コラムでは歯を失っても元気でいられる人の特徴を明らかにして、大学研究の知見を交えて考察していきます。

補綴治療を適切に利用しているケース

2012年の大阪大学歯学部の研究では、総入れ歯を使用していても、咀嚼機能が十分に回復している人は栄養状態が良好で、身体活動量も高いことが示されています(Ikebe K, J Dent Res, 2012)。

つまり、歯を無くても、歯科治療をしっかりと受けて補綴装置をうまく活用できる人は健康を維持しやすいのわけです。特に、義歯の適合性を維持するために定期的な調整、入れ歯の作り替え、清掃習慣をしっかり持つ人は、食事の質を下げずに済みことがわかっています。

柔軟な食習慣と栄養管理

2009年の京都大学大学院医学研究科の調査では、高齢者が摂取する食品に多様性があると、残存歯数に関わらず栄養状態が良好であることが示されています(Shinkai S, J Nutr Health Aging, 2009)。

つまり、硬いものが食べられないから栄養不足になる、のではなく、柔らかくても栄養豊富な食材を選んで調理で工夫できるのであれば健康を保てるわけです。

身体的予備力が高い

2015年の東北大学加齢医学研究所は、歯の有無よりも、筋肉量や握力といった全身の予備力が健康寿命に影響することをしめしています(Yoshihara A, J Dent Res, 2005)。

このことから、歯がなくても元気な人は、全身の体力や免疫力がもともと高く、口腔機能の低下を他の機能で補えるストックといいますか、代償力、予備力を持っていると考えられます。

社会的交流を維持しているケース

2012年の東京大学高齢社会総合研究機構の調査では、歯の本数よりも.社会的つながりの多さ.が健康寿命を強く規定することが示されました(Aida J, BMJ, 2012)。

人との会話や笑いは唾液分泌を促進して、口腔環境を改善します。また、積極的に社会参加をしている人は、食欲や生活意欲も高くて、歯が少なくても元気でいられる可能性が高まるのです

心理的適応力がある

2011年の九州大学歯学部の研究では、総入れ歯を使用している高齢者の中でも、前向きな性格の人ほど入れ歯の満足度が高くて、生活の質も良好であることが示されています(Tsuchiya K, Gerodontology, 2011)。

例えば、歯を失ったことを悲観するのではなく、工夫すれば生活できる、と前向きに捉えられる人は、ストレスによる健康悪化を防ぎやすいわけです

全身疾患を管理できているケース

2001年の新潟大学歯学部の研究では、糖尿病や心血管疾患をコントロールしている人は、歯が少なくても健康状態を維持できることが確認されています(Saito T, J Dent Res, 2001)。

歯が無いことよりも「持病を放置するか、管理できているか」が健康の差を大きく分けるのです。

総合的考察として

ここまでの研究から、歯がなくても元気に生きられる人の特徴は、入れ歯、ブリッジ、インプラントなどの歯科治療をチキンとうけて、それをうまく使って食事ができる。

そして、食習慣に柔軟性があって、バランスよく多様な栄養を確保できる。また、全身の体力や免疫力といった予備力がそもそも高い。さらに、社会的交流が豊かで孤立していない。それ以外には、心理的に前向きで適応力があり、全身疾患をきちんと管理していることが大切なのです。

結論

歯が無いということは、一般的に健康リスクを高める要因になりますが、歯がない=不健康ではなく、歯がなくても元気でいられる人は、補綴治療の適切な活用、食習慣の工夫、体力や社会的資源の豊かさ、心理的適応力、全身疾患の管理といった複数のマイナスポイントを補う要素を備えています。

このことは、高齢社会において歯を失っても健康に暮らす手立てを支援することの大切さを示しているといえます。 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

もし、マイナスであった場合、諦めるのでは無く、それを補完する別の方法を考えれは良いのです。

まだ、手はありますから、諦めずにいてください。

私たちは、あなたはサポートをすることはできますから。

統括院長 Dr.Ryo

※本コラムは「ウエスト歯科クリニック」と「玉川中央歯科クリニック」の両院に、それぞれ異なる内容で掲載しています。ぜひもう一方もご覧ください。

参考文献(大学関連研究を中心に)

  1. Tada A, Hanada N. The impact of oral health on quality of life in older Japanese. Gerodontology. Tokyo Medical and Dental University, 2012.
  2. Ikebe K, et al. Association between oral function and nutritional status in older adults. J Dent Res. Osaka University, 2012.
  3. Shinkai S, et al. Dietary diversity and health in older Japanese. J Nutr Health Aging. Kyoto University, 2009.
  4. Yoshihara A, et al. Physical fitness and tooth loss in elderly people.J Dent Res. Tohoku University, 2005.
  5. Aida J, et al. Social capital and health in older Japanese. BMJ. The University of Tokyo, 2012.
  6. Tsuchiya K, et al. Psychological factors and denture satisfaction. Gerodontology. Kyushu University, 2011.
  7. Saito T, et al. Diabetes, systemic disease, and tooth loss. J Dent Res. Niigata University, 2001.
医院名
医療法人社団聖和厚生会 玉川中央歯科クリニック
所在地
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