口呼吸で歯周病が悪化?!
2026年10月20日

口呼吸は体に悪い、と聞いたことがあるでしょうか?
もし、その話を知っていたとしても、それが歯周病とどう関係しているかを理解している人は少ないと思います
実際に、口呼吸は歯周病の発症や悪化に深く関わる重要な要因の一つとなります。
それが「口の乾燥」です。
口呼吸で引き起こされる乾燥から始まる

本来、人は鼻で呼吸をすることご基本です。鼻からの呼吸で、空気を加湿・加温して体内に取り込むのです。
ところが口呼吸になると、乾いた空気が直接口の中を通過することになります。
その結果、口の中の水分である唾液がどんどん蒸発してしまいます。
唾液は細菌の増殖を抑えたり、汚れを洗い流したり、口の中の環境を安定させる重要な役割を担っています。
つまり、口が乾くということは、防御機能が低下している状態といえます。
唾液が減ると、細菌が増えやすくなる

口の中は常に細菌と共存している状態ですが、健康な状態では唾液がバランスを保っています。
しかし乾燥すると、このバランスが崩れてしまい、唾液の量が減ることかる細菌が洗い流されにくくなり、歯垢(プラーク)がたまりやすくなり、細菌の質が悪化するといった変化が起こってきます。
特に問題なのは、歯周病の原因となる嫌気性菌が増えやすくなることです。
これらの菌は酸素の少ない環境を好むため、乾燥して停滞した口腔環境は繁殖するのに非常に都合が良い状態になります。
前歯の歯ぐきだけが腫れる場合は、要注意

口呼吸による歯周病の特徴ですが、部分的に悪化するという傾向があります。
特に多いのが、上の前歯の歯ぐきだけが赤く腫れるケースです。
これは空気の流れによって、その部分だけが強く乾燥するためにおこります。
臨床的にも、このような炎症の偏りは口呼吸の典型的なサインとしてよく知られています。
「奥歯は大丈夫なのに前歯だけ調子が悪い」
このような場合は、磨き残しではなく呼吸の問題が関係している可能性が高いのです。
口呼吸は治療効果も低下させる

実は、口呼吸は歯周病の治療結果にも影響します。
歯周病治療では、歯石やプラークを除去して炎症を改善させます。
しかし、口の中が乾燥した状態のままだと、細菌は再び増殖しやすくなります。
つまり、いくら適切な治療を行っても、環境が変わらなければ再発しやすいわけです。
これは「治療が効いていないのではなく、治療の効果を打ち消す要因が残っている状態なのです。
なぜ乾燥は、炎症が悪化させるのか?

乾燥が歯周病を悪化させる理由は複数あります。
まず、歯ぐきの表面(粘膜)は常に潤うことでバリア機能を保っているのですが、乾燥すると傷つきやすくなって、細菌が侵入しやすくなります。
さらに、唾液に含まれる免疫成分も減少するため、局所の防御力が低下するのです。
乾燥した歯ぐきは外部からの刺激に過敏になり、炎症が起こりやすい状態になります。
これらが重なることで、結果として歯周病が進行しやすくなるわけです。
口呼吸は、見えないリスク因子

歯周病というと、一般的に歯磨き不足が原因だと考えがちです。
しかし実際には、呼吸の仕方、口の乾燥、唾液の状態といった環境要因も大きく影響するのです。
口呼吸は自覚しにくく、無意識のうちに続いていることが多いため、見逃されやすいリスク因子になります。
歯周病の改善には、呼吸も大切

もし歯周病の改善が難しい場合、単に歯磨きの問題だけでなく、口の中の環境を見直す必要があります。
その中でもとても重要なのが鼻呼吸への改善です。
口を閉じ、鼻で呼吸することで、口腔内の湿潤環境が保たれ、唾液の機能も正常に働くのです。特別、コストがかかるわけではないので、ぜひ、今から意識してみてください。
コラムはウエスト歯科クリニックと玉川中央歯科クリニックで、それぞれ異なる内容を掲載しています。ぜひ、もう一方のコラムもあわせてご覧ください。
参考文献
- Watanabe et al. Effect of mouth breathing on oral moisture and periodontal status.
- O’Leary et al. Role of saliva in maintaining periodontal health. Harvard School of Dental Medicine
- Dawes C. Salivary flow patterns and oral health. University of Manitoba
- Löe H. The gingival index and periodontal disease mechanisms. University of Oslo
- van der Velden U. Influence of environmental factors on periodontitis. ACTA Amsterdam
- 日本歯周病学会誌:口呼吸と歯周疾患の関連
- 東京医科歯科大学 歯周病学講座研究報告
- 大阪大学歯学部 口腔生理学研究
- 九州大学歯学研究院 口腔乾燥と炎症の関連研究
この記事は
医療法人社団 聖和厚生会
ウエスト歯科クリニック/玉川中央歯科クリニック
統括院長
Dr. Ryo が執筆しました。
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