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無呼吸症候群の原因とは?

2025年11月7日

みなさん、こんにちは。Dr.Ryoです。今回のテーマはこちらです。

無呼吸症候群の原因とは?

しっかり、睡眠をとったはずなのに朝から疲れている。仕事中にものすごく眠気がくる。家族から、寝ているときに息が止まっていた、と言われた。こうした経験をお持ちの方は、SAS、つまり、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。

これは、睡眠時に呼吸が何度も止まってしまうという症状があります。一般的には10秒以上の無呼吸が一晩に30回以上、または、1時間に5回以上起きると、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。症状としては、日中の眠気、集中力の低下などです。高血圧、心臓病、脳卒中などにもつながることがわかっています。

無呼吸症候群は太った人がなる病気と思われがちですが、痩せていても発症する方がいますし、子供でも起こります。その原因はさまざまで、体型、生活習慣、骨格、噛み合わせの状態まで深く関わっています。

顔や顎の形が原因に

大きな要因として、気道の形があります。肥満によって首周りに脂肪がつくと気道が狭くなりやすいことで起きます。また、日本人は顎が小さい、ということも要因になります。下顎が後ろに引っ込んだ位置にいると、舌の付け根が喉の奥に押し込まれやすくなり、眠って筋肉がゆるむと簡単に気道がふさがりやすくなるのです。

MRIやCTで調べると、下顎が後退している人は喉の奥が細くなっていることが多く、無呼吸のリスクが高いことが報告されています【1】。つまり、肥満がなくても、顎の形や、顎の位置によって呼吸が妨げられてしまうわけです。

子どもにも見られる

無呼吸症候群は大人の病気というイメージが強いですが、実は子供にも起こります。その原因は、扁桃肥大、や、アデノイド、別名、咽頭扁桃 です。扁桃腺のようなものです。

つまり、喉の奥にあるリンパ組織が大きいと空気の通り道が塞がれて、眠っているときに何度も呼吸が止まります。夜中にいびきをかき、朝起きてもぐったりしている子どもは注意が必要です。

成長期の睡眠は脳や体の発達に影響しますから、子どもの無呼吸を放置すると学習能力や集中力に影響することもあります。

生活習慣が呼吸を妨げる

生活習慣も重要であり、寝る前のお酒、アルコールは筋肉をゆるめる作用があります。舌や喉の筋肉まで弛緩して気道を塞ぎやすくします。お酒を飲むといびきがひどくなる、というのは、この仕組みから起きるのです。

喫煙も無呼吸を悪化させます。なぜなら、煙によって気道の粘膜が炎症を起こし、腫れることでさらに狭くなるからです。また、睡眠薬や一部の鎮静剤も筋肉をゆるめるため、いびきをかきやすくなります。

全身への影響

無呼吸の怖さは、眠れない、ことだけではなく、全身の健康をむしばむ点にあります。

夜間に何度も呼吸が止まると、血中の酸素濃度が下がります。体は、窒息の危険、と判断して、交感神経を働かせて強制的に呼吸を再開させるのです。

これを一晩中繰り返すと、心臓や血管には大きな負担がかかります。実際に、睡眠時無呼吸の患者は、高血圧になる確率が2〜3倍、脳卒中や心筋梗塞のリスクも高いといわれています【3】。

歯科領域から見た原因

歯科領域では、噛み合わせ、や、舌の位置、も無呼吸に深く関わっています。下顎が後ろに引っ込んだ噛み合わせは、舌を奥に押し込んでしまいます。また、歯が無い状態で放置すると、顎の位置がずれてきて、気道のスペースが狭くなることもあります。

実際に、噛み合わせを改善したり、下顎を前方に誘導するスプリント(マウスピース)を用いた治療によって、無呼吸指数(AHI)が半分以下に減ったという研究もあります【4】。

具体例

40代男性。肥満気味で強い日中の眠気を訴え、検査では重度のOSA、睡眠時無呼吸症候群が確認されました。CPAP(持続陽圧呼吸療法)で改善しましたが、減量と並行してオーラルアプライアンス、というマウスピースを併用することでさらに効果が高まりました。

50代女性は痩せ型ですが、強い無呼吸がありました。この方の特徴として、顎が小さく後方に位置しており、舌が気道をふさいでいたのです。スプリントで下顎を前方に移動させたところ、無呼吸が大幅に減って、朝の頭痛も消えました。

小児では扁桃肥大が原因で、手術によって呼吸が改善するケースもあります。

予防と改善

無呼吸を防ぐには、まず生活習慣を整えることです。ダイエットするだけでも呼吸は楽になり、10%の減量で30%の改善がみられることもあります。寝酒を控え、禁煙し、仰向けよりも横向きで眠るようにするだけでも改善効果が出ます。

CPAPは確実に効果がありますし、マウスピース療法は軽症から中等症で有効です。噛み合わせのズレの調整、義歯、インプラントによる、安定した噛み合わせを整えることで、改善することもあります。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群の原因は、太っているから、ということだけではありません。骨格、噛み合わせ、生活習慣、全身疾患、子どもの場合は扁桃肥大など、さまざまな要因が絡み合っています。

大切なのは、原因を正しく見極めることであり、適切に対処すれば呼吸は改善して、健康的な日常生活を取り戻すことができます。

ウエスト歯科クリニック、玉川中央歯科クリニックでは、呼吸と噛み合わせの関係に注目し、歯科領域からのアプローチを行っています。特に 、トータルヘルスケアプログラム®、 では、噛み合わせ、姿勢、呼吸を総合的に評価して、一人ひとりに合わせた改善の道筋を示しています。眠りと呼吸だけでなく、健康面にも不安を感じる方は、ぜひご相談ください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

私は、トータルヘルスケアプログラム®︎ こそが、みなさんの健康上の課題を根本から解決に導く力になると確信しています。

統括院長 Dr.Ryo

参考文献

  1. Lowe AA, et al. “Cephalometric analyses of obstructive sleep apnea patients.” Am J Orthod Dentofacial Orthop.
  2. Young T, et al. “Epidemiology of obstructive sleep apnea: a population health perspective.” Am J Respir Crit Care Med.
  3. Marin JM, et al. “Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnea-hypopnea.” Lancet.
  4. Sutherland K, et al. “Oral appliance treatment for obstructive sleep apnea: an update.” J Clin Sleep Med.
  5. 日本呼吸器学会 睡眠時無呼吸症候群診療ガイドライン

コラムは「ウエスト歯科クリニック」と「玉川中央歯科クリニック」の両院に、それぞれ異なる内容で掲載しています。ぜひもう一方もご覧ください。

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