トータルヘルスケアプログラム®で高める「回復力」
2025年10月24日
みなさん、こんにちは。Dr.Ryoです。今回のテーマはこちらです。
トータルヘルスケアプログラム®で高める「回復力」
1.そもそも回復力とは何か
病気になったとき、同じ病気でも、すぐ治る人と、そうでなく、長引いてしまう人がいます。この差を生むのは何でしようか? それが 回復力 です。回復力とは、免疫機能の立て直し、そしてエネルギーの再構築になります。 ハーバード大学の研究では、適度な刺激は身体の回復力を高める ホルメシス効果 として働くことが示されていて、人間の体には、自己修復力が備わっていると報告されています。
2.栄養吸収と消化
病気からの回復には、食事から得られる栄養が欠かせません。しかし、栄養素を十分に吸収できるかは 消化の質 に依存します。ロンドン大学の調査では、歯が悪い高齢者は硬い食材を避ける傾向が高く、必要な栄養素が不足しやすいと示されています。つまりキチンと噛むということは、病気の回復には欠かせない要素になるのです。
3.奥歯の粉砕力と粉砕面積
食べ物を細かく粉砕して、消化吸収しやすい状態に変えるのが、奥歯の重要な役割になります。フランスのクレルモン大学の研究では、食べ物を細かく粉砕することによって、食物の粉砕面積が増えると消化酵素の働きが強化されて、栄養吸収しやすくなる、とされています。
東京大学の疫学研究では、歯が無くなった高齢者は、歯が残っている人と比べて、死亡率が高く、その背景に栄養吸収力の低下があると報告されています。 奥歯の粉砕力は、健康寿命を左右する要素といえるでしょう。
4.生活習慣と回復力
回復力は、口の中の働きだけでなく生活習慣にも大きく左右されます。チューリッヒ大学の研究は、深い睡眠の中に免疫細胞が活性化することを明らかにしています。つまり、睡眠不足が免疫力を低下させる仕組みを説明しています。また、ノースカロライナ大学の調査では、適度な運動をする人は風邪などの感染症からの回復が早いことが示されています。
また、アメリカのカリフォルニア大学の研究では、腸内細菌の多様性が免疫力を高めて、回復力を高めることが確認されています。
5.口腔の役割を見直す
現代の食生活は柔らかい食品が増え、物を粉砕する噛むという行為自体の回数や強さが低下しています。東北大学の実験では、軟らかい食事を続けたマウスは脳内の神経新生までもが抑制されることが示されました。これは 噛むという行為が全身の機能や回復力にも関わることを示しています。
6.全身とのつながり
ドイツ・ベルリン自由大学の研究では、アンバランスな噛み合わせは、体幹の筋肉バランスや姿勢の安定に影響をするとしています。つまり、物を粉砕することは、食べることだけでなく、全身の安定に関わっているといえるのです。病気からの回復を考える際、このことを見逃すわけにはいかないのです。
7.トータルヘルスケアプログラム®
こうした学術的知見を実際の医療に反映しているのが、トータルヘルスケアプログラム® です。病気からの回復力を底上げすることを目的とした、包括的な治療プログラムであり、従来の歯科治療や健康指導を超えた新しいアプローチといえると考えています。
最後に
病気からの回復力は、奥歯の粉砕力、消化吸収の効率、生活習慣、免疫の調整がバランスよく支え合うことで成り立っています。
これらを全身的にとらえて、バランスよく整えることが、本質的な健康回復につながることを忘れてはいけません。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
この内容が、みなさんや、そのご家族、ご友人がピンチの時に、救いになる、新しい切り口になることを期待しています。
私は、健康寿命をあと10年以上、引き延ばすこと真剣に向き合って、トータルヘルスケアプログラム®️を開発しました。この治療法がみなさんにお役に立てる日が来ることを信じています。
統括院長 Dr.Ryo
このコラムは、ウエスト歯科クリニック、玉川中央歯科クリニックそれぞれで別のテーマで掲載しています。
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参考文献
- Harvard University. Hormesis and recovery resilience. Annu Rev Pharmacol Toxicol. 2003.
- University of London. Oral health and nutritional intake in the elderly. Public Health Nutr. 2001.
- Clermont University (France). Mastication and nutrient absorption. J Oral Rehabil. 2006.
- University of Tokyo. Tooth loss and mortality risk in elderly adults. J Am Geriatr Soc. 2007.
- University of Zurich. Sleep and immune activation. Pflugers Arch. 2012.
- University of North Carolina. Exercise and infection recovery. Med Sci Sports Exerc. 1994.
- University of California. Gut microbiota and immunity. Cell. 2014.
- Tohoku University. Soft diet and neurogenesis. Neurosci Lett. 2010.
- Free University of Berlin. Occlusal disharmony and posture. Cranio. 2007.


